今日は6弦の方を弾こうと思って
ケースを開けたら、
そんなに古くない、というかむしろ
張ってからそんなにたってない①弦が
おかしいな〜
弦が切れるなんてことはほとんどないのです。
切れるとしても
A社の限定。。。www
今回はD社だったから
品質は万全のはず(そこがたまに面白くない時も)なので、
なんか不吉なことはないだろうか...と心配になってしまいました
(なかった)
札幌のコンサートで弾くので、
ビリー・ストレイホーンが作曲した
デューク ・エリントン の「A列車で行こう」の自分バージョンを
作っているのですが、
僕はこのA列車との出会いが複雑なのです。
うちにあったコンピレーションの中に、
デューク ・エリントン のがあって、
それがたまたま、
「Ellington Uptown 」ていうアルバムの中のテイクだったのです。
そこに入っている「A列車」を、
あ、これが有名なやつだ
と思って聴いたんだけど、
知ってるフレーズはあっという間に終わり、
アフロでブルージーな女性が
フェイクしまくりで1コーラス歌い、
そのあと延々とスキャットが続き、
本当ならアップテンポのままのはずの曲が
スローダウンし、大人っぽい艶やかなサックス・ソロが
再びテンポを上げて盛り上がりを経たのち、
そのまま終わる
「え??今ので終わり????」
中学生には刺激の強すぎる演奏であったのでした....
後に、この不思議な「A列車」を探し当てたら、
「エリントン ・アップタウン」ていう
エリントン のバンドのメンバーが大きく変わった直後の
名作であることが判明。
アルバムは一曲目から
新加入のルイ・ベルソンというドラマーの長大なドラム・ソロ。
これ、発売直後に聴いた人も、
「へ???」ってなったでしょうね....
2曲めの名曲「ザ・ムーチ」も
緊密なアンサンブルの底を支えるドラムのグルーヴが妖しい。。
そして3曲目のA列車では、
歴代のエリントン楽団 の歌姫史上
最もアーシーな一人であろうベティ・ロシェが
のっけからほとんど元のフレーズとは違うフェイクしたメロディーに、
かなり自由な省略と言いかえを織り交ぜた
自由な(???)歌詞の「A列車」を歌い上げます。
もう、そこはハーレムです。
しかもそれに続くコーラスでは、
スキャットの飛翔が凄まじい、
技巧的な、とか、華麗な、というのではなく、
ひたすらソウルフル。
後ろの楽団員もノリノリでスキャットに参加。
これを最初に聞いてしまった僕は、
以後、どんなに他の演奏やオリジナルのエリントン 楽団の演奏を聴いても、
脳内再生される「A列車」には、ベティ・ロシェが乗っているのです。
今回、Spotifyなんかで、
いろいろな「A列車」を聴いてみたら、
(ビリー・ストレイホーン本人のピアノもありました)
もう一つ、驚きの発見が。
詳しく調べてないのですが、
この「ハイファイ・エリントン 」が発売された1952年と同時期のライヴなんかを聴くと、
男の人の歌手が歌ってる時も、
このベティ・ロシェみたいなフェイクで歌っているのです。
ということは、
このフェイク・メロディーは、
エリントン 公認の、
ニュー・バージョンの旋律だったのです。
そしてもう一つ発見が。
この、もう売ってないけど、
「Duke's Singing Ladies」という
歴代歌姫をコンピしたらしきアルバムの中の
ライヴのベティ・ロシェ版「A列車」では、
歌だけを中心にした尺の切り詰められた演奏になっていて
ベティの歌も、スキャットも
さらに進化しています。
面白いのは、
「I covered the Waterfront」とか
「Sweet Georgia Brown」なんかの一節を
スキャットの途中で突然引用して楽団員がそれに反応しているところ、
そして、スキャットのメロディも、
アーシーな中にメロウなフレーズが散見されるようになり、
その音程のペーソスが、聴き込むとちょっと切なくなるほど。
その裏でちゃちゃをいれるエリントン のピアノの弾けっぷりにも
大注目、いや、大注耳!!!
これらの素材が、
今頭の中で、ぐるぐる煮込まれております....
ちなみに「A列車で行こう Take the A Train」の
おすすめの驚きバージョンは
ミシェル・ペトルチアーニ のピアノ・ソロのものです。