99年オペラシティでの武満さんお御命日の公演にいらしてくださり、
そのご感想を新聞に寄稿してくださったり、
小澤征爾さんとの対談本で話題にしてくださったりしました。
僕にとっては夢のようで、
ちょっと信じられないことでしたが、
2002年から白寿ホールで
「ギター・エラボレーション」というコンサートシリーズを始めるにあたり、
大江さんがなさった『武満徹のエラボレーション』というご講演から
エドワード・サイードの『音楽のエラボレーション』という書物にたどり着いたので、
「エラボレーション」というタイトルにさせていただいてもよいか
ご相談したところ、
サインの入ったご著書と一緒に「どうかお使いください」
とメッセージをお送りくださいました。
シリーズ中のコンサートにも光さんといらしてくださいました。
大江健三郎さんの小説、
僕は受験が文系だったこともあり、
初めはとても緊張して読む、
深い思想性のバックグラウンドを伴う
鋭敏な読解力を要求するテキストのように感じていました。
でも、そのお人柄に接し、
あらためてご著書を拝見すると、
また多くの違った想いを抱くことになり、
そして、
未来や希望を信じることへの弛まぬ希求が
生きるのには大切なのだと教わりました。
無名の若者に優しいお言葉をおかけくださったことも
そこから僕が与えてもらった胸を焦がすような感激も、
今の自分が、自分の年齢や前後の世代と関わってゆく中での、
生き方の揺るがぬ大きな指標となっています。
大江健三郎さん、どうもありがとうございました。